医療サービスと介護サービス、その両方を提供している介護医療院。介護医療院が創設された背景には、医療と介護に関する制度の変更があります。介護医療院の元になっているのは、医療療養病床と介護療養病床の関係性です。
比較的病状が安定している高齢者が、長期的に入院する場合、医療保険を適用させる医療療養病床か、介護保険が適用となる介護療養病床のどちらかを選択する形でした。そして、医療病床は症状がそこまで重くない人で、介護療養病床は要介護1以上の認定を受けた人という風に、それぞれ対象者も異なりました。
しかし調査によって医療療養病床と介護療養病床は入院している人に大差がなく、2つに分ける意味がないということが判明しました。その結果として、介護療養病床が廃止することとなりました。
ただ、廃止される介護療養病床には当然、療養だけでなく介護が必要で入院していた人もいたので、その人たちを受け入れる施設の存在が必要でした。その受け入れ施設として、介護医療院が創設された形です。
本来は介護療養病床自体が、新しく介護療養型老人保健施設というものに作り変えられる予定でした。けれど、高い医療ケアが求められる上に、診療報酬が下がる恐れがあるため、その作り変えは中々順調には進みません。そこで、介護療養型老人保健施設の代わりに、新しい受け入れ先として介護医療院が創設されたという背景があります。
そんな介護医療院には、要介護者1人に対する医師や介護士の人数などの基準が、介護療養型老人保健施設よりも低い形を選べて、比較的設立しやすいという特徴があります。